エビングハウスの忘却曲線と分散学習 — 小学生の漢字・英単語の覚え方に活かす

漢字ドリルの範囲をがんばって覚えて、小テストは満点。ところが2週間後の50問テストで、同じ字が書けない。英単語も同じで、テスト前日に全部覚えたのに、翌週には残っていない。

子どもが怠けているわけではありません。人間の脳は、誰でもそういうふうにできています。 それを最初に測定したのがドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスで、その結果が「忘却曲線」です。

エビングハウスの忘却曲線とは

エビングハウスは自分自身を実験台にして、意味のない音節を覚えたあと、時間とともにどれだけ忘れるかを測りました。結果はこうです。

  • 覚えた直後は100%
  • 20分後には約40%を忘れる
  • 1時間後には約半分を忘れる
  • 1日後には約70%を忘れる
  • その後は、ゆっくり忘れていく

つまり、新しく覚えたものは最初の1日でほとんど消えます。 テスト前日にまとめて覚える方法が、当日は通用しても、そのあと何も残らないのはこのためです。

分散学習:忘れる直前にもう一度見る

忘却曲線には、もう一つ大事な発見があります。忘れかけたときに復習すると曲線が持ち直し、そのあとはより緩やかにしか忘れなくなるということです。復習のたびに忘れる速さが遅くなり、数回繰り返すとほとんど忘れなくなります。

これを学習法にしたのが「分散学習」(間隔反復、スペーシング効果とも呼ばれます)です。考え方は単純です。

一度に長く覚えるのではなく、短く何回も、間隔を少しずつ広げながら復習する。

合計時間が同じでも、1日60分を1回より、15分を4日に分けた方がはるかに残ります。

小学生に合った復習の間隔

研究で使われる間隔は複雑ですが、小学生の漢字テスト・英単語テストなら、これで十分です。

タイミング やること
1回目 習った日 聞いて読む、1回書く
2回目 翌日 範囲を隠して、聞いて書く
3回目 3日後 間違えた字だけもう一度
4回目 1週間後 全部を本番の形で
5回目 2〜3週間後 前の範囲と混ぜて1回

毎週新しい範囲が出る漢字小テストのペースとよく合います。今週の範囲を1〜4回目、先週の範囲を5回目として1回見る、という流れです。

漢字ドリルに当てはめると

月曜日:新しい範囲をもらった日。保護者が読み上げ、子どもが繰り返して読む。1回だけ写して書く。(10分)

火曜日:範囲を隠して、聞いて書く。間違えた字に印。(10分)

木曜日:火曜に間違えた字だけ、もう一度聞いて書く。書けたら印を消す。(5分)

テスト前日:10字を本番と同じ形で1回。(10分)

翌週のどこか:先週の範囲をもう一度。この一手をやる子とやらない子で、学期末の50問テストに大きな差が出ます。(5分)

合計40分。テスト前日に一気に40分使うのと時間は同じですが、結果はまったく違います。

英単語に当てはめると

小学校の英語、英語教室の単語テスト、英検の対策にも同じやり方が使えます。ただし英語は音と綴りの関係が日本語より不規則なので、復習は必ず音を聞いてから書きます。

  • 新しい単語10語を習った日:聞いて、繰り返して読み、意味と一緒に1回書く
  • 翌日:音だけを聞いて、綴りを書く
  • 3日後:間違えた語だけ
  • 1週間後:全部

間違いカード:分散学習を自動にする方法

復習のスケジュールを毎回覚えておくのは大変です。そこで、間違いカードを使います。

  1. 間違えた字や単語を、カード1枚に1つ書く
  2. 箱を3つに分ける:毎日/3日ごと/1週間ごと
  3. 新しいカードは「毎日」の箱へ
  4. 書けたら次の箱へ進め、間違えたら「毎日」の箱に戻す

こうすると、よく覚えているものは見る回数が減り、覚えていないものは頻繁に出てきます。分散学習が自然に成り立ちます。

アプリを使えば、同じことをもっと手軽にできます。DictationEasyにドリルの範囲を入力しておけば、子どもが一人で聞いて書けますし、前の範囲もいつでも呼び出せるので、「翌週にもう一度」の回を飛ばさずに済みます。

保護者が知っておくと楽になること

  • 忘れるのは失敗ではありません。 忘れて、また覚え直したものは、前より強く残ります。先週の字を間違えても叱らないでください。それこそが復習のタイミングです。
  • 短く、こまめに、が核心です。 10分を超えると、低学年は集中が切れます。
  • 最初の1日が最重要です。 習った日と翌日、2日続けて見る。これだけ守れば効果の半分は取れます。

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よくある質問

エビングハウスの忘却曲線は小学生にも当てはまりますか?

はい。忘却曲線は年齢に関係なく、人の記憶が働く仕組みそのものです。むしろ小学生は覚える量が少なく、テストの周期も規則的なので、分散学習を組みやすいと言えます。

復習の間隔は正確に守らないとだめですか?

いいえ。1〜2日ずれても構いません。大事なのは「一度にまとめてやらない」ことと「習った翌日にもう一度見る」ことです。この2つを守れば、効果の大半は得られます。

1日何分が適当ですか?

低学年は10分、高学年は15分程度です。それ以上は集中が続かず、かえって効率が落ちます。

小テストが満点なら、復習しなくてもいいですか?

テスト当日の満点は短期記憶です。1〜2週間後にもう一度見ないと、かなりの部分を忘れます。先週の範囲を翌週に5分だけ見直す習慣が、50問テストの点差になります。

英単語でも同じ方法で大丈夫ですか?

大丈夫です。ただし英語は、必ず音を聞いてから綴りを書く形で復習してください。目で見て覚えるだけだと、テストで音を聞いても思い出せません。